ゴールドラットスクール発行の図書『Project Management The TOC Way』の中で、「システム内への仕事の投入を制限すること」の必要性について理解を進めるための簡単なゲーム;「ジョブ ショップ ゲーム(The Job Shop Game)」が紹介されている。
このゲームは生産環境にかかわりなく、「仕事の詰め込みすぎ」という悪弊による影響の大きさと、その簡単な解消策と効果の大きさを体感することができる優れたゲームである。
CCPMだけでなく、S-DBRの導入の際にも用いるので、あえてタイトルは「TOC導入Tips;・・・」とした。
◆◆◆ジョブ ショップ ゲーム(The Job Shop Game)◆◆◆
◆ゲームの目的
システム内のリソースの処理能力を超えて仕事を投入することによって、生産システムが混乱する状況を体感する。
もっとも負荷のかかるリソースの処理能力にあわせて仕事を投入することによって、生産システムが安定する状況を体感する。
◆ゲームの準備
所要時間はおよそ30分程度
プレーヤーは6人(最低4人でも実施可能)
「ジョブ オーダー カード」を作成する
ジョブ オーダーは4種類、それぞれ処理すべき4つの工程が記載されている
オーダー1;A → B → C → D
オーダー2;B → C → B → D
オーダー3;A → C → D → B
オーダー4;A → B → B → C
4種を各10枚ずつ用意する。
プレーヤーの役割を決める
1、オーダー投入係;司会者の合図でカードに投入日を記入し、次工程に回す
2、A工程担当;A工程を実施する(回ってきたカードのA欄に処理日を記入し、次工程に回す)
3、B工程担当;B工程を実施する(回ってきたカードのB欄に処理日を記入し、次工程に回す)
4、C工程担当;C工程を実施する(回ってきたカードのC欄に処理日を記入し、次工程に回す)
5、D工程担当;D工程を実施する(回ってきたカードのD欄に処理日を記入し、次工程に回す)
6、出荷係;全工程を完了したカードを受け取り、投入から処理完了までの日数を計算し記入する。集計グラフに結果をプロットする。
1の役割はA工程、6の役割はD工程が兼ねても良い。
◆ゲームの概要
40枚のジョブ オーダーを処理する。
司会者の合図(◯日目、記入、パス)にあわせて、それぞれの工程を進める。
各工程は1日に1つだけ処理する(1マスだけ記入する)。
手元に複数枚のカードがあっても処理できるのは1つだけ。
40枚のジョブ オーダーがすべて出荷完了するまで続ける。
◆ゲーム1;毎日1オーダーを投入、先入れ先出しで処理する
単純に毎日1枚づつ入れる。
早く投入されたオーダーが早く出荷されるように、先入れ先出しで処理する。
結果はグラフ1、2のようになる。
グラフ1
グラフ2
◆ゲーム2;投入コントロール
もっとも負荷の高い工程(B工程)に仕事がたまらないように投入をコントロールする。
このゲームでは、B工程の処理待ち仕事の数をカウントする。
司会者の合図(◯日目、記入、Bカウント、パス)にあわせて、それぞれの工程を進める。
ゲーム2では、Bカウントの合図で進行中のオーダーカード(投入済みでまだ完了していないもの)すべての中に含まれる、未処理のB工程の数をカウントする。
未処理のB工程の数が5以下であれば、次の日の投入を許可し、超えていれば次の日の投入をストップする。
ストップするのは投入だけで、他のすべての工程はカードがある限り休まず実施する。
結果はグラフ3,4のようになる。
グラフ3
グラフ4
◆投入コントロールの効果
結果のグラフから明らかなように、投入コントロールを行うと、投入から作業を完了するまでの時間(リードタイム)が短くなり、かつ、ばらつきの少ない安定した状態になる。
これは「システムの安定性が高い」状態といえる。
システムが安定してれば、新しいオーダーが入ったときにそれをいつなら出荷可能であるかを高い精度で予測でき、自信を持って市場(顧客)に約束することができる。しかも、短いリードタイムで。
システムの安定性が高いことは、新しいオーダーを受注する上で非常に重要な競合優位性である。
また、一つ一つにオーダーが短い期間で完了するため、システム内に滞留するオーダーの数が少なく、混乱が起こりにくい。
混乱なくスムーズに処理されることによって、品質が高まったり、コストが減ったりという良い効果が得られる。
投入を遅らせることは、納期遅れのリスクを増やす印象があり躊躇しがちであるが、このゲームの結果ではすべてのオーダーが出荷完了した日数には変化がない。
この理由は、処理能力に限界があるためいずれにしろ待ち時間が発生するのだが、その待ち時間をオーダー投入後にシステム内で発生させるか、それともオーダーを投入しないでシステム外で発生させるかの違いだけで、トータル日数に代わりがないからである。
わざわざ早くシステム内に投入して混乱を起こすことは、現実の環境ではもっといろいろな悪影響があることは想像に難くないだろう。
是非このゲームから得られる教訓を活かしたい。
※このゲームは、ワシントン大学のJames R. Holt教授が開発されたゲームです。
少し前までWEB上でも本ゲームの詳しい解説書が公開されていたのですが、現在は残念ながら公開されていないようです
いつの間にか復活してました。↓
http://public.wsu.edu/~engrmgmt/holt/em530/Docs/JSGInstinfo.htm
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