TOCとは、Theory of Constraints の略である。一般に「制約条件の理論」と訳されている。「ティーオーシー」または(まれに)「トック」と呼ばれている。
TOCの中心的コンセプトは、「制約(Constraints)を通して、システムのパフォーマンスを向上させる」というものである。
ここで「システム」とは、原材料を市場の求める価値に変換するプロセス全体のことを言う
「システムの成果」とは、システムが市場の求めに応じて生み出す価値のことである。
これを「スループット」と呼んでいる。
「制約(Constraints)」とは、システム全体の成果を左右するごく少数のコントロールポイントのことである。
TOCが一般に知られるきっかけとなったビジネス小説「ザ・ゴール」では、一般的な工場における「制約(Constraints)」は企業内部の「ボトルネック」であるとした。
同じくビジネス小説「クリティカルチェーン」では、プロジェクト環境における制約は、プロジェクトの計画の中で最も時間が長くかかるパス(クリティカルチェーン)であるとした。
TOCはその後の発展により、その根幹である制約の定義さえも変えてきた。
現在のTOCでは、制約とは「システムの成果を左右する」ものであり、最も重要な制約は「市場(顧客の注文)」であると統一している。
顧客から注文がなければ、いくら内部に目を配ったところで、企業は成果を上げることができない。
至極当たり前のことである。
成果は常に外部にある。
市場という制約を上手に活用することによってシステムの成果は左右される。
では、どのように活用するのか?
「市場制約を活用する」に対しては、いろいろな解釈ができそうであるが、TOCはこれについても明確にガイドラインを示している。
TOCが市場を活用する方針は「顧客と約束した納期を守ること」である。
そして、顧客と約束した納期を守ろうとする中で、新たに内部に制約が見つかる。
次なる制約の候補は、「(資源の)キャパシティ」または「(顧客に届けるまでの)時間」である。
しかし、あくまでも最も重要な制約は、常に「市場(顧客の注文)」である。
最新のTOCの定義では、制約はこの3つしかない。
制約を通じてマネジメントするのであるから、その一番大事なコントロールポイントに関する情報が、きちんと伝わっていないことは、我々TOCコンサルタントにとっても非常にまずいことである。
制約の定義自体が、世に出ているTOC関連書籍に書いてあるものからは、すでに変わっていることを是非多くの方に知っておいていただきたい。
間違ったコントロールポイントに焦点を当てても、焦点を決めないよりはましである場合が多いが、本当に期待すべき成果までは得られてはいないかもしれない。
TOCの本領は、まだまだこれからなのである。
